「で?話しって何?」

やっと聞く体勢になった和泉君が、私を真っ直ぐ見つめてきた。



き、切り替えが早い…。

そう思いつつも、私もまだドキドキする心臓を押さえながら和泉君に身体を向けた。



「えっと、大したことじゃないんだけどね…昨日からバイトを始めたの」

「……バイト?何の?」

「家庭教師なんだけどね…」

私の言葉に、和泉君の眉がピクリと上がり、だんだんとその表情は険しくなっていった。



「……男?」

「ち、違う!!女の子!!今年の春、高等部に編入した1年生なの!!」


やっぱり聞かれると思ったけど、そんなに恐い目で見ることないじゃない!!


慌てて否定すると、和泉君は安堵した様子でほっと胸を撫で下ろしていた。