「やっぱうめぇな」

相変わらず気持ちいい食べっぷりで完食した和泉君が、コーヒーを飲みながら満足そうに言った。



「で、何?話があるんだろ?」

「え?何で分かったの?」

「モカが何の用件もなく俺のとこに来るなんてないから」

「そ、そうかな…」


ば、ばれている…。私がなるべく和泉君のところへ行くのを控えているのが。


「だって…経済学部棟って遠いし、時間も全然合わないし、和泉君も忙しいし…」


気まずそうに言い訳をする私を、和泉君はじーっと表情を変えないまま見つめていた。