「ええと…確かこのあたり…」

お母さんからもらった地図を片手にキョロキョロと目的の家を探した。


名前は斎藤さん。高校一年生になったばかりという私が教える子は、「斎藤純」というらしい。


男の子だろうか…女の子だろうか……。

そういえば、名前しか聞いていない。


男の子だったらどうしよう…。和泉君に報告しづらい…。


和泉君は結構嫉妬深い。

私が男の子にモテるというあり得ない心配をいつもしているくらいだ。男の子の話を出すことも嫌うし、昨日なんて、お兄さんに対しても敵対心むき出しだった。


そんな和泉君に、男子高校生の家庭教師をすることになったと伝えればどうなるか、安易に想像できる。