あれは、小2の夏の事・・・。

あたしはお母さんもお父さんもお仕事で退屈して泣いてた。


そんなとき、1人の女の子があたしの前に現れたんだ。

名前は梅名麗(うめな・れい)ちゃん。
当時はあたしと同じ、小2だった。

現在あたしは中2だから・・・麗ちゃんも中2。



あたしは、南萌香(みなみ・もえか)。
村岸エンターテイメントっていう芸能事務所所属の女優。



雑誌の表紙には“大人気女優・もえぴーインタビュー”っていう見出し。
あたしの愛称は“もえぴー”。
ちょっと恥ずかしい・・・って思う。


ついこないだ・・・ドラマ出演が決まって、すごく楽しみにしてたから嬉しかった。
しかも、ヒロインやらせてもらえるって。


だけどちょっと心配な事が・・・。


「お・・・おはよう」
あたしは、ライバル事務所所属の羽月ゆい(はづき・ゆい)ちゃんに話しかけた。
でも当然のようにしかとだけどね。
嫌われてんのかな、あたし・・・。


ゆいちゃんの演技はそこらの人には絶対できない。

すごく・・・上手。


〔先輩っっ・・・!あたし・・・先輩が好きです!〕


クサい台詞も難なくクリアする、すごい子。

あたしは・・・まだまだ。


〔何言ってんの!?先輩はあたしと付き合ってんのに!!〕


・・・あたし、ヒロインのくせに悪役って感じがする・・・。

「カット!!萌香ちゃんすごくいいよ!!
ゆいちゃんは・・・・・もうちょっと頑張ってね!」

監督はいつも同じ評価。
確実にゆいちゃんのほうが上手いのに。

これだから嫌われるんだ・・・。