「智也のこと
本当に好きだった」




我慢しようと思っていた涙は
止まらない。


こんな顔、
見られたくないのに。




「昨日、違う女の子といてるところを見ても嘘だと信じたかった」


「それは…」


「でも…違ったんだよね」


「きほ…」


「最後に言っとく。
あたしのことなんか
勝手に言ってればいいよ。
でも美和のことだけは
バカにしないで」




あたしは言い切った。




「あたしはもっと
良い女になってみせるよ。
あんたの為じゃなくて私の為に」




完全に言い切ってやった。


まだまだ心は重たい。


でもこれで良かったと思う。




「希帆、俺は?」


「なんであんたのことを…」


「ということなんで、智也くん。
この良い女もらってくね」




あたしの反論なんて無視して、
後ろからギュッっと
抱きしめられた。



そのときの智也の顔は
愕然としていた。