「でも…」
「この人に
連れて行ってもらうから!!」
指名されたのは
隣のクラスの男の子。
体も大きくて美和の
一番苦手そうなタイプだった。
「でも、美和は…」
「グズグズしてないで行って!!」
あたしは頷いて、
言われたとおりに向かった。
もちろん猛ダッシュで。
美和は智也を止めるために
背中を押したのだろうか?
それとも……
知っていたのだろうか?
そして中庭にやっと到着した。
ぜいぜいするぐらい
息切れしてしまっていた。
たくさんの野次馬に囲まれていて
本当に言い争っているのか
分からなかった。
とにかく野次馬を
必死に押しのけて押しのけて
一番前を目指した。
やっと前に来た時。
あたしの
目に飛び込んできたもの。