「お、遅くなりました」
あたしは様子を
うかがうかのように
ゆっくりと近づいていく。
「良かった。
迷子になってなくてさ」
「…う、うん」
──…あれ?
ペースがつかめない。
「服、似合ってんじゃん」
着てきたのは花柄のワンピース。
絶対に似合わない
かわいい花柄のワンピース。
智也にも
『お前、それ似合わねぇな』って
散々バカにされたのに。
「じゃあ行くか。はい、手」
「手?」
差し出されたアイツの手。
嬉しそうにはにかんでいた。
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