ここに連れて来られるまでは
覚えている。


でも他にこの男の顔なんて
出てこなかった。




「ごめん。
やっぱアンタ誰?」


「じゃあ、お仕置きだね」


「はい?」




そのままその男はゆっくりと
顔を近づけてくる。



逃げ場は無い。


声にならない。




(…コイツ、
何する気よぉ〜!!!)




ドカッ!!! 




きれいに入った蹴り。



とっさに相手のあごにめがけて
膝を思い切り蹴り上げた。




すると急にソイツは笑い出した。



近づいていた顔も離してくれた。




…変な奴。