「ま、待って!ちょっと聞いて…?」

「そんな必死になんなって。今のは冗談だから。けど、やっと章菜を手に入れたんだ…俺がどれだけ焦らされたかわかってる?その内全て貰うから。」





耳元で囁いた朔夜は部屋を出て行ってしまった。





ズルズルと床に座り込んだ私は手で顔を覆った。





――――顔が熱い。





ギャップがありすぎて些細な事で恥ずかしくなってしまう。





意図も簡単に追いやられてしまって、怖くなる。





心を落ち着かせ、私もリビングに向かう。





紗衣と朔夜はぬいぐるみを手に遊んでいた。





「ままっ。」


「何して遊んでるの?」


「うさたんとねこ!」





答えになってない会話に笑みが零れる。





「まま、いぬする?」


「うん。ままも一緒に遊ぶ。」





紗衣と朔夜の間に座り犬のぬいぐるみを手に持つ。





朔夜と私を見てニコニコと笑う紗衣を見て、やっぱり父親は必要なんだと思った。