『何だよ、頼みって?』



『実はな、俺好きな人いる』



『まじで?誰?誰?』


『清秀高校の人なんだよ。いつもバス停で見るんだ。多分、タメだと思う』


『名前とか知らねぇの?』


『はっきりとしか分かんねぇだけど、友達に《ゆり》って呼ばれてた』



ゆり…
ゆりって…鈴木百合?


でも百合という名前なんて、たくさんいるじゃねぇか。


『名字は?』



『分かんねぇ…』


俺は、カバンから何かを出した。


それは、学級写真。


もし、修の好きな人が百合ならば、学級写真を見て、何かを思うはずだ。


俺は修に学級写真を差し出す。


『お前の好きなゆりってこれ?』


俺は学級写真の百合を探し、修に見せた。



この百合ではありませんようにと─…願って。