反対側の道にいる百合を、俺はただ見るしかできなくて…

マナに悪いと思うから、俺はすぐに視線を反らした。


─…この街にはもう夕日の姿はなく、夜にだけ現る月が、姿を見せた。


マナといると時間が経つのが早くて、少し寂しさが出てくる。


『マナ、そろそろ帰るか?』


『そうだね、明日私…学校早いし』



『送るよ』


俺はマナを家まで送る。


その短い距離にどれだけマナの笑顔を見れたか…


その質問に答えれない。


俺は何回もマナの笑顔を見たから。



『送ってくれてありがとね』



『うん、じゃあ…ね』



『バイバイ!』



またマナの笑顔が見れた。

マナは家に一歩ずつ入っていく。


『光輝…』


でもその足を止めて、再び俺の方へと来た─…