『…早く終われぇ…』


俺は目の前にある丸い時計を睨みつけている。


シャーペンをクルクルと何回回しただろうか。


時間が経つのが遅い!!



『坂井!さっきから何睨んでいるんだ!質問でもあるのか?』



『別に…』



質問なんかあるか。
早く終わって欲しいだけだ。


──キーンコーンカーンコーン


『おっしゃ!』


俺はそのチャイムの音と同時に、カバンを持ち、教室を今までにないくらい速いスピードで出て行った。



『こら坂井─!まだ終わってないぞ!』



『ちょっと用事あるから!』


これから大切な大切な約束がある─…


俺は早くマナに会いたくて、会いたくて、
バスの到着時間を待てなかった。


だから、俺は走った。


夏になりつつあるこの季節の中、俺はマナに会う為に、走り続けた。


この道を真っ直ぐに…