百合の暖かい言葉が、
俺のイライラを落ち着かせてくれた。


『…光輝は…彼女の事好き…なの?』


百合もタクミと同じ質問をしてきた。


答えも同じ。


『うん…好き』


しばらく百合の返事は返って来なかった。


俺は百合の顔を見る。


百合は何かを我慢してるようだった。


『百合…?』


『ふぅーん。光輝が好きならそれでいいんじゃないの!?』


百合は俺にこう投げ捨て、教室を出て行ってしまった。


『百合…』


百合は何かを我慢していた。


百合の目に溜っていたモノ。
百合が我慢していたモノ。

それは涙。


俺の勘違いかもしれない。でも俺は百合が心配だった。


だから百合を追い掛けた。

でも、百合を見つけると、タクミが百合を慰めていた。


俺は二人に近付く事は出来ず、背を向け、教室に帰っていった。



タクミと百合が二人でいる光景を見た俺の胸が酷く痛む。



俺には後悔しか残っていない──…