『百合…』


『光輝?何びっくりしてるの?』



『マナだったのに…何で…』


マナはどこ…


俺は叫ぶ。

『マナ…マナ…』



『──…き!こ…うき?』

俺はマナの声がする方向に走っていく。


だんだんと光が見え始めた。


目を開けると、マナの顔が視界に入ってきた。


マナは心配そうに俺を見る。


『光輝?大丈夫?』



『えっ…夢?』



『光輝、私の名前呼ぶんだもん。びっくりしちゃった!』



何だ…夢か。



『もう遅いから、帰るね?』


『えっ…うん』


俺はまだ現実の世界に戻ってはいなかった。


『じゃあね!バイバイ!』

『送らなくていい?』


『大丈夫!バイバイ!』


『うん…』


俺は、マナが見えなくなるまで手を振り続けた。


パタンとドアの閉まる音が、さっきまでいたマナの温もりが一気に冷める。



『何だよ…あの夢は…』


何で、百合が現れたの?


マナの隣で百合の夢を見てしまった。


それが何だか…
マナへ対する罪悪感が残った。


ごめんね…マナ…