俺はしばらくマナの家の前で立ったままだった。


思い出して戻ってきてくれると信じて。


でも…
マナは来なかった。



『マナのバカ…』


俺は諦めて、マナの家の前から動いた。


何回も何回も振り返りながら。



『何かイライラしてきた…』


イライラなんかするわけない。


俺は寂しかった。


ただ俺の感情を誤魔化したくて、嘘の事を呟いただけだ。


ホントは、胸が締め付けられて潰れそうなくらい、
寂しかったんだ。



俺はメモリから、タクミのメモリを探し、タクミに電話をかけた。


この思いを誰かに聞いて欲しかったから。


潰れる前に。


『タクミ?』



『光輝か?何だ?』



『今大丈夫?』



『おう、今家に疾風来てる』


『今からお前ん家行っていいか?』


『大丈夫だけど?
何かあったのか?』


『まぁ着いたら言うわ。じゃあな』




俺は携帯の電源ボタンを押し、タクミの家へと向かった。