帰りたい。
マナに会いたい。
マナを抱き締めたい。
マナにキスしたい。



俺の頭の中には、
マナばかり。


退屈すぎたんだ。
入学式とか。


しかもタクミと疾風と違うクラスとか…


俺どうすればいいんだよ?

初めて入るクラス。


知ってる人はゼロ。

俺の楽しさゼロ。

俺の学校生活の期待さゼロ。


俺は教室に入ると、黒板に張り出されている座席表を見た。


真ん中の列の前から4番目。


隣は《鈴木百合》


鈴木百合はまだ来ていない。


まぁいっか…


俺は席にカバンを置き、
トイレへと向かう。



─ジャー


蛇口から出る水。

グルグルと回り、排水溝へと消えていく。


俺は暫くそれを見ていた。


『なにやってんだ俺。
笑え…』


鏡の中の自分に問いかける。


鏡の中の俺は、言われた通り笑った。


俺はトイレから出ていく。

再びクラスへと戻って行った。