『ありがとな、百合…』


ドライヤーを片付ける百合の背中に向けて言った。


百合は振り向いて、


『いいよ』


と笑ってくれた。


こんな時間に、百合が俺の家にいる。


そう思えば思うほど、
緊張が増す。


『光輝の部屋初めて入ったかも!なんか意外に片付いてるね?』


俺の部屋を見渡し、
色々物色をする百合。


俺は百合を引き止めた。


『百合、こっち来いよ…』

百合は嫌がらず、俺の方へ来てくれた。


百合をあぐらの上に乗せ、後ろから抱きしめた。


この格好が一番落ち着く。

『光輝?今日はお母さんとか誰もいないの?』


『いつもそうだよ。
いた事の方が少ないんじゃね?もう慣れたけど』


『ふ~ん。そっか…』


百合がいきなり黙り始めた。


俺は百合の異変に気付き、百合の顔を覗いた。