鍵を回し、ドアを開け、
百合を抱きしめた。


『…体つめてぇじゃん…』

俺が《会いたい》と言っただけで、来てくれた。


百合の優しさが、心に染みた──………


『光輝?頭濡れてるよ?
風邪引いちゃうよ…』


『いいよ…風邪なんかいくらでも引いてやる』


『だめ!早く乾かして!』

百合は俺の手を握り、
俺の家に入って行った。


『ほら!乾かして!』


ドライヤーを持ち、
仁王立ちしている百合。


そんな百合を見て、
俺は迫力負け。



─ブオー


ドライヤーの風と一緒の方向へと流れる髪。


次々と飛ばされる水滴。


俺は下を向いたまま。


百合はドライヤーで俺の髪を乾かしてくれている。


『緊張するんですけど?』


『ばかっ!もう乾いたかなぁ?』


百合が、俺の髪を触る。

触れる度、心臓が楽しそうに弾む。