タオルで髪を拭きながら、俺は部屋へと戻る。


そして、窓の方へと行き、また月を眺めた。



まだ綺麗─…


視線を玄関の方へ落とすと、俺は唖然とした。



玄関には、夢か現実なのか分からない光景があった。


一人の影。

男ではない。

頬を赤く染め、俺に手を振っている。



『…ゆ…り…』


そこにいたのは百合だった。


俺は勢いよくベランダに出た。


スエット一枚じゃとても寒い。

でも気にしない。


どうでも良かった。


『こっ光輝!来ちゃった!』


百合は笑ってこう言った。

『ばっばか!お前風邪引いてんだぞ!こんなくそさみぃ中何しに来たんだよ!!』


『…だって会いたかったんだもん…』


それを聞いた途端、
胸がギューと締め付けられた。


そして俺は百合がいる玄関へと走った。