グラウンドへと着くと、
まだ先生は来ていなかった。


『今日先生出張だってさ。だから自分達でサッカーの試合やれだってさ』


体育係が、俺達に指示をする。


『はぁ?まじかよ』


皆の反応は、やる気なし。

もちろん俺と亮もだ。


俺と亮は、座り込み、
二人でいろいろ話した。


すると、後ろの方から気になる話が聞こえた。


『今日鈴木さん休みなんだってな~、つまんねぇの』

鈴木さん?
百合の事か?

俺は再び耳を澄ました。


『お前知ってる?
二年の稲葉先輩が俺達のクラスの鈴木さんを狙ってるって』



俺の頭の中の糸が切れた。
こいつが言っている、鈴木さんとは、間違いなく百合だ。

そして、稲葉とは誰だ?

百合を狙ってる?

嘘だよな…


そう頭の中で整理していると、隣にいた亮が立ち上がった。


そして勢いよく、その話をしていた人達に向かって、言葉を吐いた。


『それどういう事だよ!?』


『亮!!』


時間が経つのは遅い。

遅いと、自分では分からない部分だらけ見えてくる─…