暫く、俺は優さんと話し、面会時間ギリギリまで百合の傍にいた。


百合の手をギュッと握りながら、百合が目覚めるのを待った。



でも今日は百合が目覚める事はなかった。


『また明日来ます』



『光輝君ありがとう。
折角の夏休みなのに、百合のために…』



『百合がいないと楽しい夏休みも楽しくないですから… 失礼します』



『さようなら、またね』


─ガチャッ



静かに閉まる病室のドア。

病室内は、誰もいない。


ただ聞こえるのは、


俺の泣く音──…


百合の寝顔をみていたら、
苦しくなる程胸が痛かった。

そして、優さんの話を聞いていたら、
更に苦しくなる─…



『百合…バイバイ…』


俺は歩き出す。


今から確かめに行くんだ。


あの場所へと──…