『特別だよ…昔…愛した人だからね…』


胸が突き刺す。


ゆっくり時が過ぎる。



優さんは…なぜそんな笑顔のまま…話せるのだろうか?


俺だったら出来ない。


思い出したくもないだろう。


優さんは、涙も見せず、
ただ笑顔で話す─…



『愛した…人…』



『そうだよ…』


『優さんは…何故そんなにも普通に話せるのですか?俺だったら…出来ない…
それに、初めて会った人に…ここまで話す事は出来ないと思うし…』



『彼女が僕に言ったんだ。《笑って》って。
だから笑うんだ…
笑顔になると、空の上の彼女が笑ってくれている気がするんだ…
僕は、彼女を思い出の一言に片付けたくない。
彼女と過ごした日々は、ちゃんとあったのだから』



優さんの言葉は、
スゥーと俺の傷付いた心を癒してくれる。


そして、自分が今までしてきた恋愛が、どれだけ虚しい恋愛だったか、考えさせられた。