百合に気持ちを伝えたいのに、なぜこんなにも上手くいかないのだろう。


今まではこんなんじゃなかった。


俺が今まで経験してきた、《好き》とは違う。



何かが違う─…


『もういい。光輝なんか知らない!』


百合は思いきり掃除道具入れの中には箒をしまい、
どこかへ去って行ってしまった。


俺の横を通った百合の目には、涙が流れていた。



泣かせてしまった。


大事な百合に、
涙を流させてしまった。


静かな教室に聞こえる、
時計の針の音。



その音が俺の胸を突き刺す。


『ごめん…百合…』


小さな小さな言葉は、

夕方の教室に儚く散った。


俺はカバンを持ち、
教室を後にした。


あの後、百合はどうなっただろう?


百合は俺の事嫌いになっただろう。



もう…俺は言えない。


君にこの封印した気持ちを…



ごめんね…