あぁ…もうダメだ。


無理だ。


この状況に耐えれない。



『あ~つ~い~!』


今日の気温、32℃。


真夏日和。


隣の百合が叫んでいる。



下敷で何回扇いでも、
この暑さには耐えれない。

汗が次々と湧き出てくる。

だから夏は嫌いだ。


『百合…暑いって言うな!余計暑くなる!』



『だって体育の後ってすごい暑いじゃん!』



『まぁな…俺もバスケで動きまくったから暑いわ~』


あの日から、俺は気持ちを封印したまま誰にも話していない。


もちろん親友のタクミにも。


言えるはずがない。


百合は先に進んでいるのだから。


進んでいるものを阻止など出来るはずない。



でも今のままでいいんだ。

百合が俺に話しかけてくれて、笑顔を見せてくれれば、俺はいいんだ。