百合は真っ直ぐで、
自分に嘘をつかない、

素敵な女性だと思ったのは、この時だった。


俺と全然違う。
百合が羨ましい─…



でも百合も、いっぱいいっぱいだった。

百合はすぐ顔に出るからね。


『何で…そんな悲しい顔するの?』



『…だって…心配なんだもん』



俺が心配?



『何で?俺が心配?
何で百合が心配するの?』


『光輝が~…』


『俺?』


街を見下ろすと、
道に人が居なくて、
まるでこの世界に…俺達しかいないみたいだ。


街を染めるオレンジ色の、大きな丸は、次第に、
なくなっていく。


俺は百合の次の言葉を待った。



『光輝が…光輝が…』


俺の名を何回も呼ぶ百合を見ると、百合はすごい必死な顔をしていて、
思わず抱きしめたくなった。