「葵の飯はうめぇな。」


大好物のから揚げを頬張り、笑顔を向ける健吾。


食べる度に「うめー」「うめぇ」と言う健吾に、嬉しくて笑顔が溢れた。


「マジ、うめぇな葵ちゃんの料理は。」


関心したように言う泰に視線を向けると


「柳?」


泰の隣に座っている柳が、箸片手に窓の外をジッと見ていた。

私が声をかけるとハッとした表情をし、私に視線を向け


「葵ちゃん…陸斗って呼んでって言ったじゃんか。」


引き攣った笑みを浮かべ、卵焼きを口にほうり込んだ。


「えっ、でも…」


健吾に視線を向けるとバチッと目が合った。




「呼んでやれよ。」


健吾の一言で


「り、陸斗…卵焼き美味しい?」


名前だけ呼ぶのは恥ずかしくて、陸斗が食べていた卵焼きが舌に合ったか聞いてみた。


「ぶふっ、葵ちゃんは可愛いなぁ。
健吾と泰は名前なのに俺の名前は名字で気になったんだよな…」

「だって…泰の名字、知らないもん。」


私の言葉で、食べていた3人の箸が止まった。



「はぁぁぁぁぁ!!」


目の前で叫ばれ、咄嗟に両手で耳を塞いだ。


「泰、うるせぇ…」


眉間にシワを寄せた健吾に


「なんで、なんで!!
そーいえば、自己紹介してねぇ!!」


泰は、ガックリと肩を落とした。