「芽衣……綺麗だったね」




慌てて後ずさりしたおれにそう言って微笑む楓。
芽衣!?……あぁ。芽衣か。
そうだ!今日は結婚式だったんだ。




「あぁ。そうだな」




上を見上げて耀達を思い浮かべながら答えた。
すると楓はフッと笑って下を向いた。




「楓……?」




名前を呼んでみると、楓は何も言わずにおれを見つめる。
その視線がおれの心の中を見つめているような気がして、おれは思わず顔を背けた。




何なんだよ……。今日はやけに見つめてきやがる。
ドキドキしてるけど平気なフリをしておれは照れ隠しにポケットに手を突っ込んだ。




するといつもなら強気な楓が今日は何も言わずにおれのポケットに突っ込んでいる手を出させて繋いできた。




ああ言ってたのも。きっと……楓は早く結婚したいとか、思ってんのかな。
だとしたらおれは、今何を言えばいいんだろう。
考えながら楓の手をギュッとした。




「あのさ楓」




「ん?」




楓を見ろして口を開くと、楓はゆっくりとおれを見上げた。