「ホントどこまでも馬鹿だよー！」
「っそ、そんな馬鹿馬鹿言うなよ」
今日で何回馬鹿言われてんだおれは。
眉を下げながら頬をポリポリ掻いていると、楓はおれに抱きついてきた。
「おわ！？」
驚いていると、楓は泣きながら言う。
「あんたにはあたししかいないから……っけ、っこんするぅ！！」
いつもは毒舌の楓が泣きながらおれに返事を返す。
その姿はいつもの楓とは違う、可愛い姿。
おれにしか見せない姿……。
その姿を愛しく思いながら、おれは優しく楓の頭を撫でた。
おれにしがみ付く手は小さくて。
上から見える背中は華奢で。
本気で守りたいって、改めて思った。
お前を守るよ。そう力一杯に楓を抱きしめた。
おれ達も耀達のように前へと進みだした。
この先ずーっと長い共に生きる道を―――……。
