そう言っておれのほっぺにキスした。
「あんたの馬鹿なとこ好き」
耳元で優しく囁いてくる楓。
その声が甘くて、色っぽくておれの顔は真っ赤。
「っぅ~」
目の前で微笑んでいる楓に我慢できなくなったおれはギュッと楓を抱きしめた。
「っちょ、苦しい、ってば!」
おれを睨みながらそう言っておれに抵抗するけど、今のおれにはそんなの効かない。
ただギュッとしたくて。もう楓の声なんかおれの耳には届かなかった。
「楓!おれと結婚しろ!」
アホかぁ。おれは。何だよ。大事なプロポーズに上から目線って!!
咄嗟の言葉におれは早くも後悔。
「何よ、その上から目線」
ほら。こんなプロポーズに納得する訳ない。このお嬢様が。
でももう訂正できないおれは、謝る事なく口を開く。
「おれの精一杯の気持ちだ!」