最低だとは思ってたけど、ここまで腐ってたとはな。






「何してんだって聞いてんだよ!!!」




俺の怒鳴り声に体をビクつかせ、ようやく俺を目を見た由美。



びっしりと付けられた付け睫の間から、潤んでる由美の瞳が覗く。





「・・・だってっ・・・」




「だってじゃねーよ!ふざけた真似しやがって・・・!!」





「・・・ごめんなさ・・・っ」



声が小さすぎて最後まで聞き取れなかった。
俺は無視して心の腕を掴んで教室から出た。



「ちょっと、何処行くの!?」



「椿一回ここに来てたんだろ!?探すんだよ!」



「あ・・・うん!」





二人で校舎の中の、椿の行きそうな所を回る。





「あの子、黒板見て教室から飛び出しちゃってみたいなんだ・・・」




「・・・そりゃ、そうなるだろうな・・・」



「クラスの男子、メモってる奴いてさ。何考えてんだって思って、そいつにまで椅子蹴り飛ばしてやったよ!」



心はまだ怒りを抑えられない様子で、体を震わせ、声を上ずらせている。



「よくやったな」




「当たり前じゃん。椿は何も悪くないんだから、こんな事されていいはずないんだよ。本当はもっと殴ってやりたかった」




・・・・・・だよな。


俺も相手が女じゃなかったら殴ってたよ。



それに、俺が殴ったら余計に椿への怒りが増しそうで、出来なかった。



女は恋愛の怒りを、全て女の方に向けるから嫌いなんだ。