「ふざけんじゃねーよ!!!椿がお前等に何したって言うんだよ!!!」
心の悲鳴に近い叫び声が、教室中に響き渡った。
慌てて中に入って、今の状況を見ると、心が由美の胸倉を掴んで至近距離でガン飛ばしている。
何故か由美の髪の毛は、チョークの粉まみれで、その下には黒板消しが落ちている。
多分、心がそれを投げ付けたのかもしれない。
視界に入る黒板は、誰かによって荒く消された痕が残っている。
「おい、ここ――――」
パンッ!
心は胸倉を掴んだまま、思い切り由美の頬を引っ叩いた。
顔を真っ赤にして、泣きそうな表情は、いつもの心らしくない。
「おい!お前何してんだ!」
俺は心の腕を引っ張り、由美から引き離す。
それでも心は振り払おうと抵抗する。
「離せよ空!!コイツ、椿のケー番とアドレス黒板に書いてやがったんだよ!!!相手してだとか訳わかんねー事まで!!!」
は?なんだよ、それ・・・
俺は、思わず腕の力を緩めた。
そして、由美の方を睨んで詰め寄った。
由美とその後ろにいる女子は、あからさまに“ヤバイ”って顔をしている。
「・・・お前等、何してんの?」
呆れて怒鳴る気も失せる。
「・・・・・・・・・・・・っ」
皆俺から目を逸らして下を向いて、黙っている姿が、余計に腹が立つ。
なあ、椿関係ないだろ?
下らない逆恨みしてんじゃねーぞ。