本当の事言うと、大嫌いなんて嘘・・・。
嫌いになんて、なれるわけないじゃん。
ずっと一緒だったんだよ?
3人で・・・過ごした時間は、どんな物にも変えられない。
10年間以上の壁は、簡単に壊したくないし、壊れないんだ。
「きゃははは♪」
聞き覚えのある、甲高い笑い声。
あたしと心はぱっと顔を上げて、同じ所を見た。
「もぉー、空ってば可笑しい~」
同じクラスの長谷川さんが、空と腕を組んで歩いていた。
周りには空と仲がいい男友達と、その彼女らしき人達も一緒だ。
長谷川さんはピンクの浴衣に、髪の毛をどんだけ盛るのって言うくらい、盛っていた。
空・・・長谷川さんと付き合ってたんだ。
「あれって、空じゃんね?」
「うん・・・・・・彼女優先なんて、珍しいよね」
二人で空を眺めながら話していると、
空の友達があたし達に気付いた。
「あっ!椿ちゃんと渡辺ちゃんだ」
そこにいた人がこちらを振り向く。
「おぉ、やっぱり会ったな」
大して驚いた様子もなく、
片手を挙げて手を振る空。
「今年は空いないからつまんないじゃーん」
心が不満そうに口を尖らす。
あたしは長谷川さんと目が合い、軽く睨まれた。
・・・え、あたしですか?
まだ何も言っておりませんが?
これから言う気も更々ないけどさ。
あたしは何もなかった様にふいっと目を逸らした。
あああああー。
あたしこの面子、超っっ嫌い。
学年でも派手な方で、悪さしては“やっちまったよ~”とか言いながら笑ってる。
馬鹿みたい。
なんで空はこんな人たちといるんだろう。
空は派手っちゃ派手だけど、悪い事をする子じゃない。
ただの女好き・・・みたいな。