ふと渚を見ると、目が合った。



「――――!」


あたしはぱっと目を逸らして、心の服の裾を掴んだ。
今こっち睨んでた・・・。

渚は目が切れ長いから、睨まれると本当に怖い。



それに、あたし自身が渚を拒絶しているんだ。





「じゃ、ウチラ綿菓子でも買ってくるから!」



すると、心があたしの手を掴んだ。



・・・え?




「おぉー、じゃあ俺等飯食ってねえから、何か買ってくるわ」



雄太はあたし達と逆の方向を指差す。




「佳保っアンタも行ってきなよっ」



ひそひそと心が佳保に耳打ちするのが聞こえた。



「えっうん!ありがとうっ」



佳保はそう言って雄太と渚に駆け寄った。



・・・。




「じゃ、買いに行くか!」



・・・やっぱり心は優しい。

あたしと渚を近づけささないようにしてくれて・・・・・・・・
でも佳保の気持ちもくんでちゃんと行動している。

感情だけのあたしとは違って、心は冷静に正しい。


こうしたら誰かが気にする。
こうすれば丸く収まる。


心に気を遣わせてばかりで、なんだか悔しくなった。