心と佳保と待ち合わせしているバス停に向かう。
バス停に近づくにつれて、鼓動が激しくなる。

やっぱり・・・あんなこと言わなきゃ良かった・・・。


なんで言ったんだろう。
あたし、やっぱり、渚に会う勇気ない。


重くなる足を引きずるようにして、あたしはバス停まで歩いた。



二人とも浴衣は着ていなかった。
急に行くって決まったから、きっと浴衣の準備が出来ていなかったんだろう。



心の浴衣姿は、マジやばい。
色気ありすぎってゆーか・・・なんつーか。
空なんてメロメロだった。


『マジいいって!一生それで生活してよ!』


って真顔で言ってたもん。



今年は見れなくて残念・・・。
佳保も可愛んだろうなぁ。
ピンクとか似合いそう。



隣町は、バスで20分くらい行った所にある。
自転車で行けば25分。



信号に全然引っ掛からなかったこともあって、バスに揺られ、10分で目的地に着いた。


なんで、こんな時に限って早いんだか。



運賃を払ってバスから降りると、目の前には、もう雄太と・・・・渚が来ていた。
何故か空の姿は見当たらない。
・・・どうしたんだろう?



「おそようございますねー」

雄太が待ち草臥れたとでも言いたそうな顔で言う。


時計で確認すると、まだ2分前だった。
普通に間に合ってるから。

「ね、空はぁ?」



佳保がそう言うと、雄太が“俺らより女をとったみたいだね”と笑った。
目は笑ってないけど。

なんだ・・・空は彼女とデートなんだ。
毎年花火大会は彼女じゃなくて、あたし達と遊んだんだけどなぁ。
まぁ、仕方ないよね。


てゆーか、空と渚は仲直りしたのかな。



思えば最近あの二人が話している所見かけないし・・・・・・・。