なんで・・・?
よりによって佳保が渚なの??



「あっ・・・渚、ねっ!あ~~、ビックリした!ねぇ!椿」


心も明らかに動揺している。
動揺を隠すためか、わざとテンションを高くする。


「あはは・・・だね、ちょっとビックリ」


ちょっと所じゃない。


もう嫌だ。
どうして、こうも上手く行かないんだろう・・・。


神様は意地悪だ。
あたしは完全に見放されている。



「ほんとに誰にも言わないでよ!?あたし二人にしか言ってないんだからぁっ」



恥ずかしそうに手を合わせる佳保を、心の底から応援できない。
やめなよ、渚なんて・・・って言いたいけど、言えない。
余計なお世話だって分かってるけど、お願いだから止めて欲しい。

そうなったら全てが丸く収まる。


佳保があの事を知ってしまったら、
どんな顔するだろう。


それが怖いんだ。


あーぁ、あたしって最低・・・。



「それでね、今日の花火大会、皆で集まって行かない?」



何処まで追い討ちを掛ければ気が済むんだって、思ってしまった。


あたし達の隣町で毎年ある、花火大会。
中学のときはあのメンバーで毎年行った。

中学に入る前には、心と渚と3人で行った。

季節外れの花火大会が楽しみで仕方なかったのに行きたくない。

・・・・・・やっぱり行かない訳にはならないのかな。



「ああ、それ毎年ウチラ行ってたんだけど・・・今年も行くのかな?」


あたしの顔色を伺っている心は、控えめな言葉。



「そうなんだ・・・・・・なんかいいなぁ、皆元中一緒で。羨ましい」



高校から一緒になった佳保は、確かにたまに話しに付いて行けてない時があった。
中学の時の誰々に彼氏ができたとか、あの先生が結婚するとか・・・。

あたしが佳保の立場だったら、寂しいと思う。




「・・・うん、行こっか。今年も」



あたしは無理して笑った。
これが、せめてもの手伝い。


あたしにはどうせ何もできっこない。
だから、これくらしかできない。