「―――――椿、見つかったのか?」
後ろからふいに渚の声がして、あたしは振り返った。
「うん!この人が拾っててくれてた~~」
携帯を片手に渚にぶんぶんと手を振る。
・・・・・・あれ?なんか、渚機嫌悪そう・・・?
よく見ると、渚は眉間には皺を寄せて、不機嫌そうに
男の子を睨んでいた。
え、なんで?
「ふーん。じゃあさっさと帰るぞ」
あたしの手をぎゅっと握ると、渚は下駄箱の方に
歩き出した。
急に手を握られて、あたしは戸惑った。
なんせ、こうやって手を握られたのは、何年ぶりか分からない。
物心ついた頃には、手を繋ぐなんてことなかったから。
さっきの人にもう1回お辞儀して、渚に引っ張られながら
歩いた。