その日は無事家に帰り、早めに寝た。
お風呂では、いつもより丁寧に長く体を洗った。


湯船に浸かると、擦りすぎた所為で全身が沁みて痛くなった。




学校に行ったら、昨日みたいな嫌がらせはなかったから、とりあえず安心した。



長谷川さんは、あたしが教室に入ると同時に、教室から出て行った。



避けられてもいい。
むしろそっちの方が楽でいい。



鞄の中の教科書を机に入れて、席に着くと、携帯が鳴った。





一瞬ドキッとした。




まさか、昨日黒板見た奴、とかじゃないよね?



恐る恐る携帯のディスプレイを見ると、空からだった。



ほっ・・・。





【今から屋上までダッシュ!】




はあ?



空の用件が単刀直入すぎて、意味不明。
あたしはやれやれと言う気持ちで、教室から出た。




なるべく周りの目から離れたいから、人目の少ない廊下から行った。



昨日色々あった屋上に行くのが、ほんの少し抵抗があった。




「空・・・?どうしたの?」


屋上の柵に肘をついて、グラウンドを見下ろしていた空。



「おう、はよ」


そう言いながら、こちらを向いた空に、あたしは“え!?”と大声を上げた。




何故なら、空の綺麗な顔に、大きなガーゼやバンソーコが貼られていたから。