「何から話せばいいの?」
とりあえず屋上に行って、二人並んで座った。
「言いたいこと言えって」
椿は落ち着かない様子で、俺を横目で確認したり、貧乏揺すりをしたり、いつもの癖の、耳に髪を掛けたりしている。
きっと俺に言うか迷ってんだろうなあ・・・。
「じゃ、じゃあ、長谷川死ね!あんな奴消えろ!」
思い切ったように大きな声で言った。
「・・・うん、許せないよな」
「いきなり突っ掛かってきて意味不明だこの野郎!」
「うんうん、意味わかんねーな」
それから、椿の愚痴はずっと続いた。
今まで余程由美が嫌いだったのか、止まる事を知らなかった。
『お前等に尻軽女とか言われる筋合いねーよ!』
『お前の親が見てみたいわ!』
それは俺も共感。
『美人だからっていい気になるな!』
『ナルシストな高飛車女っ』
『世の中ろくな奴いねーよ・・・』
『もう恋愛なんか大嫌いだ・・・』
だけど、愚痴ってる間にだんだん声が小さくなって、また涙声になりだした。
「渚も・・・あいつ等もムカつく・・・・・・」
体育座りで、膝に顔を沈める椿は、多分泣いている。
ここで出た渚の名前。
結局渚と何があったのか分からないまま。
だから、ちょっと悔しかった。
「・・・・・・ねぇ・・・」
「何?」