カフェ『BLUE BIRD』の門を足早にくぐると、何となく今までのことが夢のような気がしてきた。

「さむっ…。」

もう5年も使っている携帯で時刻を確認すると、夜6時半すぎ。真冬の今は真っ暗で、星のかけらが僅かに見えるくらい。街灯もあまりない道を、駅までいそぐ。

人もあまりいない…。

不安になってきたその時。

足音が、ふいに聞こえた。