「まあまあまあまあ!やはり細くいらっしゃいますから、お似合いですこと!次はどれになさいますか?」


「あの黄色いドレスなんかどうだ?」


その間にも、パシャ、パシャ、とコタローさんはシャッターをきる。


デジカメで何枚も撮って、可愛いだの綺麗だの連発。いつもとキャラが違いすぎて、戸惑いまくる。


すると。

「本当に綺麗だよ。女優みたいだ。」

カメラを一度外したコタローさんが、話しかけてくる。

「キミも女優のように、応えて。」


女優のように。


その言葉に、目を閉じる。

私は、大好きな人と結婚式を控えた幸せいっぱいの女性。もしそうだとしたら、ドレス選びだってなるべくたくさん着て、写真だっていっぱい撮ってもらって、真剣に自分が似合うのを選ぶハズ。


それなら。


「ねぇ、コタロー。正面からだけじゃなくて、横とか後ろ姿とかも撮って。」

「オッケー!」

私の精一杯の演技に、自然に応えてくれるコタローさん。


きっとこの事にも意味がある。なら、めったに出来ない事だし、楽しもう。