「うーん、可愛すぎかなあ?」

鏡を見てはくるくる回る。

ピンクをベースにしたコーディネートは、普段の私なら絶対に選ばないスカートと相まって、照れくささと不安がひらひら揺れる。

でも、指先で光るネイルがそれじゃあなきゃあ、と言っている気がした。

「おい、何かうるせーぞ、どうしたぁ?」

ノックもせず入ってくるのはセイさん。

「イイじゃん、女の子の王道って感じで。似合ってるじゃん。」

私の服を見て、やや驚いたものの、いつものエンジェリックスマイル。

かなり、嬉しい。

「二日目なんだから、無理すんなよ。」

「え?」

「外に出るってコタロー兄が言ってたから。それなら合格。存分にエスコートしてもらえよ。」

「は、はい。」

「自信なさげな返事だな…ちょっと運動して、エスコートしなきゃいけない状態にアンタをして、やろうか? 」


そしてあの、悪魔の笑いが…始まる前に、全力で断る。


「いえ、遠慮します!」

「じゃあ、少しだけまじない、かけてやるよ。」

「まじない?」

セイさんは頷くと、ゆっくり私の目を射ぬくような強さで捕らえる。

「かわいいよ。」

「!?」

「きっと、今日は楽しいデートになる。」

………うわぁ。

今までセイさんって、天使で悪魔で、男の子って感じだったけど。

凄く、今は、格好いい男の人、だった。