「来栖さん。ありがとう。」

「何言っている?
本当にお礼をするのは、
井上さんだろう?」

そう。ドラマの完成会見で、
事実を話せと、言われたのは、
井上さんだった。

それは、
琴の学校に行く数日前。

「輝?本当の事を話せ。」

「何をですか?」

「お前の気持ちを。」

俺は驚いてしまった。
確かに琴の両親には、
付き合っている事はまだ、
正式には言っていない。

「けど・・。」

「テレビの生放送を使って、
話すんだよ。
そうしたら、お前のファンも、
みんなが応援する。

お前は俺にでも絶対に、
仮面を外す事はしない。

彼女を守るためにも、
全て話す事が1番だ。」

井上さんのアドバイスの
おかげで事は収まった。