「さあ。ちゃんと話は聞くから、こっちへおいで。」




約束の日、
ホテルのバスルームでシャワーを浴びた後


つかささんが布団の端を捲って、おいでの合図をする。


私はベッドに滑り込んで、

彼に密着した。




心臓の音が凄い。


こんなに緊張してる、私。


「どこからでも話していいよ?」


微笑む彼。



「なんか緊張する…どこからどう話そうか…」




私は目を一旦閉じて、深呼吸した。




「……うちはね、昔から凄く貧乏で…でもまずこの話からするべきね…」


目を開けて、



静かに話し始めた。








うちの父親は私とは血の繋がりがない。

要するに義父。

ちなみに母と籍も入れてないから、戸籍上は単なる同居人。



義父は昔は優しかった。
私には、自慢の父親だった。
怒らせたら凄く怖かったけど、とっても可愛がってくれて、大好きだった。



ーーあの日までは。




自営で塾を開いてる父に、水商売の母。

夜は母が帰宅するまでは私と父だけ。




ある晩、私が寝返りを打って、ぼんやりと目を開けると、何か人の手の感触を体に感じた。


それは体中を這いずり回る。


気持ち悪くて吐き気がしたけど、本能的に寝たフリを続けた方がいい事を察知した。


この家にいるのは私と父だけ…


なぜこんな事をするのだろうと、

吐き気と恐怖を無理矢理閉じ込めた頭でそう思った。


私が、14の時だった。