私といる間だけは、その体も心も、

何一つ気負わず自然体でいられる、

…居心地の良い、そんな場所でありたい。
そんな存在でいたい。



彼の頬を両手でそっと包む。



「……すき。」



唇を重ねる。



私の思いが唇から彼に流れ込んで、

彼が幸せで一杯になればいい。


この気持ちが彼の心を温かく包み込めばいい。




「大好き、つかささん。」




離してはまた唇を寄せ、重ね、呟く。




そして私の頭を掠めるのは、


私を縛り付ける黒い感情。



私も話さなきゃならない…



いつか
あの話を
しなければならない。




私はどんな顔して話せば良いのだろう。


嫌われてしまうかもしれない。


こんな女嫌だと言われてしまうかもしれない。




つかささんを失わないとは限らない。



その可能性は、いつか話さなきゃという決意を揺さぶって揺さぶって。




「…ずっとこうしていたいね。」




何も考えず、


何にも苦しむ事もなく。


ただあなたと一緒に穏やかに笑って、

愛し合って毎日を過ごせたら、


どんなに幸せだろう。





幸せ過ぎて死んでしまうかもしれない。





勿論、そんな事は天地がひっくり返っても有り得ない。


永遠の気持ちを誓いながら、

それでもいつか失う恐怖に怯えて。


かと言って自分からはこの手を離せない。


なんて滑稽な。