開店したばかりで私達が一番乗りだった。


窓際の、橋と港が見える席に案内される。


優柔不断な私はしばらくメニューとにらめっこで悩んだけど、野菜と蛸のトマトパスタに決めて、つかささんは何やらいっぱいおかずが付いている、定食みたいな物に決めた。



「修学旅行生かなぁ。沢山中学生みたいな子がいるよね。」


時間が来たら上がったり下がったりする、有名なはね橋を眺めながら、平和な会話をする。



この、どうでもよさそうな事を話しながらゆっくり流れる時間が好き。



何の気なしに天気や観光客の話や、

何が美味しそうとか、

そんな話をしながらお互いを見つめる時間が好き。



「……そんなに見つめたらキスしたくなるでしょ。」


イタズラな瞳でニヤリとした彼に、

私は慌てて俯く。



そんな、バカップルと笑われそうなやり取りをする時間が、


たまらなく愛おしい。



しばらくして運ばれた料理に、私達はあれやこれやと感想を述べながらゆっくりと食べる。


蛸が少し多かったけれど、辛さが絶妙で美味しかった。



きっとこの味を私は忘れない。


どんな会話をしながらどんな気持ちでこのパスタを食べたか、きっと一生覚えてるだろう。