「まーたママはそんな事言ってるぅ!」


小学1年生の花奈が笑いながら背中にのしかかって来る。


「ふふ。だってママ、もっとお金欲しいんだもん。」


こんな会話ってない。


私が口癖のようにお金がないお金がないと繰り返すせいで、
花奈もお金が欲しいと言い出すようになった。


それはきっと、

色々な欲しいものを我慢ばかりさせているせい。
お金がないせいで、私の情緒が激しく不安定なのをいつも見ているせい。


ごめん、花奈…


心の中で呟きながら、

お金に執着してしまう自分の汚さと情けなさに、

心底嫌気がさした。



いずれ花梨も花奈と同じように考え出すだろう。
保育園の年少組、4歳の花梨は、花奈の影響を多大に受けているから…



「あぁ暑い。」


扇風機のスイッチを強にして、じゃれ合う子供達を見ながら、

明日も暑いんだろうな、仕事辛いな…




ぼんやり考えていた。