「ああ、眼鏡ね、眼鏡眼鏡…」


首から下げれるように細いチェーンを付けた、ごくごく普通の眼鏡をかける。


途端に視界がクリアになって。


「じゃあ行こうか。」



私達は展示室へと入って行く。








―――ーーー---……


「はあ…本当に凄かった…凄いしか言いようがない。」


展示室にいた時から数えて何十回目の溜め息なんだろう、と自分でも思うくらい、溜め息ばかりだった。



考古学に詳しいのならまた違う感想も出てくるのだろうけど、私は全く知識がない素人で。


それでも、


保存状態の良さにただただ驚き、


三千年前のエジプトの人々の文化と考え方に触れては感心し、


そんな大昔にこれだけの技術をなぜ持っていたのかという疑問に取り憑かれた。



「結子、ずっと溜め息ばかりだったね。」


「だって本当に凄いんだもの。これしか形容出来ないのが歯痒いけど。」