焦がれずにはいられない。
それは十分すぎるくらい自分でも分かってること。
私達は、いつ突然幕が下ろされるか分からない舞台にいるみたいで。
限られた時間しかないから。
だから今を精一杯、愛し合おうとするのかな。
終わりに向けて加速していくから、
こんなに愛おしいのだろうか。
だったら悲しい。
『結子…マフラー、ありがと。凄く嬉しい。』
そんなメールが来た。
プレゼント開けたんだ…
気に入ってくれたなら嬉しいよ、つかささん。
バスを降りる間際に気がつく。
そういえば私、仕事で使っていた道具を洗ってない。
それに引き継ぎの顧客データの最新版を作成してない。
制服もクリーニングに出さなきゃだし。
なによ、まだやることあるじゃないの。
思い出して良かった。
帰宅してお母さんの休みがいつからかを訊ねたら、31日から休みという事だった。
「お母さん、明後日の大晦日、私会社行くね。まだやり残した事ある。悪いけどその間子供達をお願いしてもいい?」
子供達を連れて行けば、いくら休みに入って誰もいない社内だとしても…
仕事にならないのは目に見えてるから。
お母さんにお願いして明後日手早く済ませた方がいい。
「ん?別にいいよ。」
「ありがと。お正月用の買い物、ついでにしてくるよ?必要なのない?」