皇の手には、缶ジュース。
兄ちゃん、私たち、遊びに来たんじゃないんだよ?
赤アゲハの仕事しに来たんですよ??
今から遊ぶぜオーラ、出してんじゃねぇよ!!
『こっ、皇…』
「おぅっ!!」
なんとかコイツら追っ払って、と目で訴えると、元気よく頷き、男たちの方へ向く兄ちゃん。
・・・なんか、嫌な予感。
「おいっ、お前ら
コイツは今、すこぶる気分が悪いんだよ。
今にも胃の中のもんが逆流しそうなんだ。
だからほら、さっさと離れたほうが身のためだよ?」
こんのクソ兄貴ぃぃぃ!!
不良を諭すのはいいことだけど、私の人権考えて!!
気分が悪いのをそこまで強調された、かわいそうな妹のことも、考慮してあげて!!
皇の説得もあって、不良たちはどこかへ行ってしまった。
「ユウ、もう大丈夫だぞ」
『体は大丈夫でも、心はブロークンハートだよ』
「おっ、気分はよくなったのか」
『そっち??!そっちに喰いついちゃった??!
ブロークンハートに反応してくれなきゃ、言ってて恥ずかしんですけど!』
「よし、そろそろ中にはいるか」
『無視っ??!ってか、そんなに腕振ったらコーラが大変なことにぃぃ!!』
普段クールぶってる兄ちゃんは、妹の私にとっては、天然デストロイヤーでしかない。