希に手渡されたアルバムを開く。



『白黒写真っ!!昭和だねぇ~』



一枚ずつページを開いていくと、庭に立つ一人の男の子に目を留める。


元気そうな顔色以外は全く違いのない・・・




『さっきの子!!』


「見つけた?」


『見つけた見つけた!!でも目が死んでたし、顔色も悪かったから、別人かも・・・』


「顔色のいい幽霊なんか、いねぇだろ」


『いるかもしれないじゃん?なんなら、綾が証明してくれ』


「死ねってか。この俺に死ねって言ってんのか」


『そうしたら、世間の先入観を覆せるぜ!

死んだ後も価値ある人間、最高じゃね?!』


「お前がやれ」


『ヤダよ、私まだ青春真っ盛り~』


「・・・・・・」



「ユウ、バラってこれのこと?」



希が指さすのは、航太君らしき人物がバラ園に立っている写真。



『バラなんて、どれも一緒じゃぁい!!

しかも白黒~!!色とか判断できねぇっ!!』


「それもそっか。でも、あの幽霊はこの子で間違いなさそうだね」


「春臣、呼ぶか?」


「この部屋には、もう何も手がかりがなさそうだし、合流しようか」


『アルバム持っていく?』


「そうだね」





航太君の写るアルバムを持って、私たちはその部屋を後にした。